パワハラって上司が部下をいじめること?

パワハラは職位が上位の者が下位の者に行う嫌がらせだと思っていませんか?一般的にはそのケースが多いのですが、部下が上司にパワハラを行うこともあります。朝日新聞2022/8/24の記事を引用すると。『北海道警は24日、自分より若い上司に暴言を繰り返したとして、札幌方面の警察署に勤務する40代の男性巡査の行為をパワーハラスメントと認定。減給100分の10(3カ月)の懲戒処分とした。道警監察官室の発表によると、巡査は4月下旬から6月1日の間、同じ係の20代の巡査部長と30代の警部補に対し、「実力が階級と似合わない」「やってられねえよ」などと暴言を繰り返したという。道警は巡査が上司2人よりも勤務年数や業務経験で優位な立場にあったと判断し、パワハラと認定した。」職位よりも年齢や経験が上のほうが優位だと判断したわけで、珍しい事例だと思います。年齢・経験年数・職位が下の者が1人で上司に暴言を吐いてもいわゆる「パワハラ」にはならないが逆パワハラと呼ばれます)多人数で同僚・上司を恫喝あるいは無視などをしたら、人数が多いことに優位性があるので普通にパワハラとなります。また、パワハラは企業内で発生するとは限りません。「元請業者が下請け業者に対して」「客が企業に対して」など、立場が優位な者が嫌がらせをすればパワハラになります


ところで、道警の事例では、ハラスメントの発生から懲戒処分が出るまでの期間が短いですね。公的な機関の場合は解決までに長くかかるのが普通で、もし被害者と加害者の職位が逆であったなら、つまり被害者が巡査で加害者が巡査部長または警部補だったならば、解決はまだ先か、懲戒処分はあっても「戒告」程度であったかもしれません。

 

⇒(次のコラムへ)ハラスメントで懲戒処分されるのはどんな時?

2022年09月10日

ハラスメントで懲戒免職されるのはどんな時?

一般的に企業で最も重い処分である懲戒免職が科せられるのは、横領や情報漏洩など社会通念上許しがたい不祥事を起こした場合です業種によって違いがあり、公立の学校では、懲戒免職の原因でもっとも多いのが児童・生徒に対する「わいせつ行為」です 。男性教員がほとんどですが、教え子と性行為をして懲戒免職処分を受けた女性教員もいます。参考までに、相手が「生徒」であっても愛があれば、つまり真剣交際であれば「わいせつ行為」にはならず、教員が性的欲望を満たすためだけに性行為をすることが処罰の対象となるわけです。ただし相手が13歳未満の「児童」の場合は、真剣交際であっても「強制わいせつ罪」が成立します。つまり、対象が小学生の場合はいかなる理由でも性行為はダメということです。当然ですね。でも、中学生と教員の真剣交際って有りでしょうか?

*学校教育法では「児童」は小学生、「生徒」は中高校生を示します


ハラスメントを行った場合の懲戒処分はどうでしょうか?どうようなハラスメントであっても、懲戒免職を科すことができるのは、レイプ、強制わいせつ、暴行など刑事事件に相当するような場合です。ハラスメントに対する懲戒処分は「訓告または戒告(公務員の場合)」、「減給」「出勤停止または停職(公務員の場合)」が多いです。「降格」もありです。どのような処分が適当か法的な決まりはありませんが、公務員では、知事や市町村長などの任命権者の裁量に任せられています。民間企業で事業主が懲戒処分を行うには、就業規則に「懲戒処分の種類」や「手続きの仕方」が記載してあることが必要です 。

 

⇒(次のコラムへ) 不倫ってセクハラになるの?

2022年09月10日

不倫ってセクハラになるの?

社員同士が社外で不倫するのは勝手です。社内であっても誰にも迷惑を掛けなければ問題にはなりません。でも、不倫であろうとなかろうと無理やり関係を迫ればセクハラになります。お互い合意のうえで不倫をしても、職場環境を悪化させたら他の職員に対するセクハラになります。不倫関係の社員同士が社内で性行為を繰り返して周囲に迷惑をかけ、懲戒解雇となった例があります。独身同志でも周囲に不快な思いをさせればセクハラです。社内で性行為を繰り返すって、会社に繁殖期の動物を2頭飼っている感じになりますね・・・仕事に集中できませんよね。

 

⇒(次のコラムへ)医療機関はハラスメントが多いの?

2022年09月12日

医療機関はハラスメントが多いの?

医療機関はパワハラの宝庫です。同種の職種内の上下関係、異職種間の序列、患者との関係など、ハラスメントが発生しやすい要素がたくさんあります。医療機関には様々な国家資格をもつ人たちが働いています。その資格には暗黙の序列があります。医療の現場はほとんどが医師の指示の下で動きます。看護師も薬剤師も他のスタッフも医師の指示がないと仕事が成り立ちません。現場はチームワークで仕事をしており、職種の違いは仕事の守備範囲が違うだけということになっていますが、あくまでも建前の話です医師の指示に従う以上、医師に優位性があるのです。


医療機関の同じ職種内でハラスメントが発生したら、どうすればいいのでしょうか? 解決のために加害者への働きかけは必須ですが、できれば被害者を加害者から引き離したいですね。それが容易なのは被害者が看護師の場合です。診療科が複数ある医療機関であれば、看護師の配置転換でとりあえず解決できます。看護師以外の職種では配置転換での解決は不可能です。看護師はオールラウンダーで、どのような診療科であっても仕事ができます。医師を含めて他の医療職は配置転換ができません。例えば、薬剤師は薬剤部でしか仕事ができません。医師は専門性が高すぎて、診療科がたくさんあっても配置転換は不可能です。内科医がある日突然、外科医に転身とはならないのです。なので加害者への働きかけはとても重要なのですが、気が重い作業になります。

 

⇒(次のコラムへ)医師が受けるハラスメントってどんな内容?

2022年09月29日

医師が受けるハラスメントってどんな内容?

厳しい実地訓練と指導を受けてやっと一人前になれる職業、例えば、自衛隊・警察・消防などでは、上司からの指導が行き過ぎればパワハラになります「いじめ対策推進法」という法律があります。社会人ではなく、児童・生徒を対象とした法律です。この法律の特徴は「被害者の心情を重視し、加害者の悪意の有無は考慮しない。」ということです。加害者が悪気はなかったと言っても、被害者が傷ついていればいじめになるのです。逆に加害者に悪意があっても、被害者が気にならなければいじめにはなりません。社会人のハラスメントも同じことが言えます。被害者が指導だと感じていればパワハラにはなりません。境界線を引くのが難しい職場と言えるかもしれません。

 

実は医師もそのたぐいの職業なのです。研修医を経て一人前の医師になるまでに、先輩医師からの教育・指導が行われます。研修医とは「医師免許取得後に大学病院または臨床研修指定病院において、7つの診療科を2年以上かけて回り、研修を行っている時期にある医師」のことを言います。先輩医師が研修医や後輩医師に対して優位に立つことになるのでパワハラが発生します。2020年10月にm3.com(医療系の情報サイト)の会員の医師を対象にしたアンケート調査の結果(回答者は243名)では、パワハラを受けたことがある医師は55.2%に上り、最も多いのは「精神的な攻撃」で38.2%は、次いで「過大な要求」で23.9%でした。下記にその一部を転載します

 

【精神的な攻撃】
・研修医の時のこと。当直明けの申し送りで、救急部の部長から「プレゼンがなってない!話にならん!」と、持っていたファイルを机に叩きつけながら、スタッフステーションで罵倒された。(30代男性/消化器科)・
・初期臨床研修医として働き始めて3カ月たった時、看護師に、多くの人が見ている前で長時間叱責された。人格否定もされた。一方的にあることないことを責められて、こちらが泣いても止まらなかった。(30代女性/内科)
・執拗なメールがあり、細かい指摘をして、どのような理由で何をやったのかを、ねちねち書いてくること。(50代女性)
【過大な要求】
・長時間労働が多く、1か月に100時間以上の時間外労働に加えて月4回の当直があり、1年の半分以上は体調不良であるが、当直をしない医師から「まだ倒れていないためもっと働け」と言われた。(30代女性/腎臓内科)
・研修医時代、まったく適切な指導を与えられないまま過剰な業務を押し付けられた上、物理的に無理だと断るとその後のカンファレンスにおいて些末で意味不明な質問を執拗に繰り返し、答えられない、あるいは答えないと罵詈雑言を浴びせられた。(40代男性/小児科)
【人間関係からの切り離し】
・仕事を与えられず、医局で椅子に座って過ごしていた。(40代男性/放射線科)
・外科医だったのに麻酔科の仕事を余儀なくされて、数年間は麻酔医として仕事をした。昨年から麻酔医を雇用して仕事がなくなり病棟と外来の勤務を言われたが、常勤医を外された。(60代男性)
・くびを言い渡された。担当患者がいなくなった。(60代男性/リハビリテーション科)
【身体的な攻撃】
・研修医だった頃、自分のミスを怒られる時に殴られた。(40代男性/内科)
・顔に紙カルテを投げつけられる。(40代男性/耳鼻咽喉科)
・後輩の前での罵倒、まわし蹴り。(40代男性/救急医学科)
【個の侵害】
・人の交際関係をべらべら言いふらす。(30代男性/消化器科)
・病棟で好意を持った看護師の名前を言わされ、その看護師に私が好意を持っていることを勝手に暴露された。また、バイト代を含めた年収を言うように強制され、答えたくないとはぐらかすと「君は秘密主義だ。それはよくない!」と結局言わされた。(50代男性/呼吸器科)

 

内容がいろいろとすごいですね。医師は社会的には知的で冷静だと勝手に思われているようですが、実際は違ますね。ハラスメントは、学歴や社会的地位とは関係なく発生するということですね。アンケートでは対処の方法も聞いています。「特に何もしなかった」が21.6%、次いで「職場を変えた(異動・休職・退職など)」が15.2%でした。弁護士や労働基準監督署に相談した人も数%おり、一般の企業と変わらないですね。ハラスメントが原因で医療ミスを起さないか心配になります。

 

⇒(次のコラムへ)アメリカでは患者から研修医へのハラスメントが多いらしい

2022年09月29日

アメリカでは患者から研修医へのハラスメントが多いらしい。

アメリカでは患者から研修医へのハラスメントが多いらしい。医療系情報サイトのメディカルトリビューンの2020年12月26日の記事からです。カリフォルニア大学のShalila S. de Bourmont氏らの研究(アメリカ医学会雑誌 JAMAの2020年11月号掲載の論文)によると、ほとんどの研修医が患者から軽蔑や診療拒否などの偏見的態度を取られた経験があることが分かった。被害は女性、黒人、ラテン系、アジア人の場合に特に顕著で、黒人またはラテン系は45%が露骨な悪口や診療拒否を経験していた。また、アジア人は全員が民族的な出自を詮索されたと回答した。性研修医の96%が職務に対する疑いを、87%がセクハラの被害を受けていた。男性研修医も約30%がセクハラを経験していたさらに、ほとんどの研修医が「医療の優先」や「対応しても無益」などの理由で病院には報告していないとのことでした。どれも日本ではあまり発生しないハラスメントですが、女性研修医が患者から軽視されたりセクハラされたりという経験は日本でもあるのではないかと思います。

アメリカでは患者から研修医へのハラスメントが多いとのことですが、おそらく研修医に限ったことではないのでしょう。アメリカでは患者が医師と対等に、はっきりと意見を述べるという印象がありますので、研修医を終えた専門医でも、女性や有色人種・ラテン系はハラスメントを受けやすいのかもしれません。


参考までに、女性医師と男性医師、どちらに診てもらうと病気が治る確率が高いと思いますか?2016年のアメリカ医学会雑誌JAMA Internal Medicineに「女性内科医が担当した入院患者は、死亡率や再入院率が有意に低い」という論文が掲載されました。「女性医師は、診療ガイドラインなどルールの遵守率が高く、科学的根拠に沿った診療を行うほか、患者とより良いコミュニケーションを取る。また、女性医師は専門外のことを他の専門医によく相談するなど、可能な限りリスクを避ける傾向がある。(Diamond Online 2017.1.13号)」というのがその理由のようです。つまり、死にたくなければ女医を選べというわけです。

 

⇒(次のコラムへ)日本では医師から患者へのパワハラが多いかもしれない

2022年10月14日

日本では医師から患者へのパワハラが多いかもしれない。

日本の場合、「患者が医師に」ではなく、「医師が患者に」パワハラを行うことが多い。これをドクターハラスメントと呼びます。昔から医者と言えば、高圧的で頑固、医師の言うことは絶対で、質問したら怒られそうなイメージです。最近の若い医師にはそのような人は少なくなりましたが、少し年配の医師には結構多いです。私の知人の母親が大学病院の内科に通院していましたが、担当の教授が威圧的で、何も質問できず、患者や家族は待合室で愚痴をこぼしあっていたそうです。私自身も医師の理不尽な言動に驚いたことが何度もあります。私の母が大腿骨頚部骨折で整形外科に救急搬送された時、何も説明がないので入院期間などを質問したら「そんなことは知らねえよ!」と怒鳴られました。看護師が申し訳なさそうにしていましたが、搬送された時間帯が夕方の受付時間ぎりぎりだったので、面白くなかったのでしょう。びっくりというよりもあきれました。でも、この出来事は私にとっては氷山の一角です。医師(看護師もです)の言動は患者や家族の心にず~と残るということをわかってほしいものでそして、患者にとってパワハラに相当するのだということを。

 

⇒(次のコラムへ)公的機関のハラスメントでは調査委員会を設置するの?

2022年10月22日

公的機関のハラスメントでは調査委員会を設置するの?

公務員の場合、ハラスメントの加害者への懲戒処分は、知事や市町村長などの任命権者の裁量に任せられています。公務員は簡単にクビにはできないので、懲戒免職などの重い処分を科す可能性がある場合や、ハラスメントの有無を明白にするために、調査委員会が設置されることが多いです。ハラスメントを行ったというお墨付きを得るためです。しかし、調査の結果、「ハラスメントは無かった」「ただのコミュニケーション不足」ということになるケースもあります。この場合は被害者に救済処理はなされず、放置または逆に注意されることもあり、つらい立場になります。

 

調査委員会が設置された場合、結果が出て加害者に処分が科されるまで、半年、場合によっては1年以上かかることがあります。表面的にはきちんと対処した結果と思えますが、その間の被害者の気持ちを考えてみて下さい。ラスメントのニュースを見る時に私が一番注目するのは、「被害者が訴えてから処分が科されるまでの期間」です熊本県山都町の町役場で起こった以下のハラスメントを例に挙げます。

 

(読売新聞オンライン 2022/8/28付)
男性職員を大声で 叱責しっせき するパワーハラスメントを行ったとして、熊本県山都町は26日、能登哲也副町長(62)を懲戒免職処分とした。 発表によると、男性職員は昨年7月、うつ病を理由に休職した。昨年12月、上司に手紙で「副町長からパワハラを受けていた」と相談し、町は3月、第三者調査委員会を設置し、関係者に聞き取り調査した。
 能登副町長は元県職員。調査委は、就任した2019年7月から2021年7月にかけ、業務を問い合わせたり、決裁文書の作業をしたりする際、男性職員を大声で叱責したことなど3件がパワハラに当たると認定した。
 町は「公職上の信用を失うべき行為があった」として処分を決めた。男性職員はすでに復職しているという。梅田穰町長は「絶対にあってはならない事件が発生し、誠に遺憾。監督が行き届かず、深くおわび申し上げる」とコメントした。

 

一見、町はきちんと対応したかのように見えますが、上司に手紙を書いてから3カ月もたって調査委員会を設置。懲戒処分を決定したのはその約半年後です。ハラスメントの対応は迅速に行うのが鉄則ですが、上司に手紙を書いた時期から数えると、たった一人の加害者に対して約10カ月もかかっています。なぜ長くかかるのでしょうか。通常の業務とは違う余計な仕事のために要領が悪くかつ関係者の腰が重かった、いやいやながら行っているためスピードが遅かった、ということでしょう。また、委員の選定に時間がかかったのかもしれません。ハラスメント対策には被害者への共感が第一で、だから迅速に解決しなくてはならないのです。被害者が訴えてから解決までの期間で職場の本気度がわかります。

 

⇒(次のコラムへ)悪名高き道立江差高等看護学院のパワハラ

2022年11月06日

悪名高き道立江差高等看護学院のパワハラ

日本全国に知れ渡った北海道の有名なパワハラと言えば、あの道立江差高等看護学院の事件でしょう。パワハラの内容もさることながら、道のあまりにもずさんな対応も全国的に有名になりました。教育機関として前代未聞です。パワハラが行われたのは2013年から2020年まで、加害者は副学院長を筆頭として教員11人(全員女性で看護師)、被害者は聞き取り調査可能だった学生だけでも14人。休学や退学に追い込まれた学生が多数おり、すでに就職している卒業生も加えると相当な数になるはずです。自殺した男子学生もいます。定年退職や移動した教員もいるはずですから、加害者の教員の数ももっと多いはずです。江差以外に紋別高等看護学院でも18件のパワハラがあり、両校で同じ加害者がいました。つまり紋別でパワハラを行い、移動してきた江差でも行っていたわけです。

 

学生や保護者(父母の会を結成)は道にパワハラの実態を訴えたが対応せず、それどころか、新聞記者が行った情報開示請求を加害者である看護学校に漏らし隠ぺいする時間を与えるなどしました。2021年4月になって道は保護者説明会を開いたがパワハラは認定せず、学生や保護者は反発を強めます。道議会でも議題に上り、2021年7月にやっと第三者調査委員会が設置され、パワハラの調査がなされました。調査対象とした101件のうち、パワハラと認定されたのは52件でした。驚いたことに、加害者には懲戒処分がなされることはなく、職場の移動が行われただけでした。

 

学生が受けたパワハラは、とても教育機関とは思えない以下の内容でした。
 ・生徒への人格否定:「バカじゃないの」「お前みたいなバカは死ね」「あなたは指導する価値がない」
 ・暴言・脅し:「ペンでぶっ刺すぞ」「顔もみたくない」「殴る蹴るの暴行をしたくなる」
 ・退学・休学の強要:「執拗に休学を促された」
 ・指導の放棄・嫌がらせ:「講義に出させてもらえず、単位が取れなかった」「課題の提出物を床に投げ捨てられた」「指導してもらった用紙に『は?』とだけ書かれた」「病院での実習で単位をもらえず、どこが悪かったのか改善点を尋ねても指導してもらえなかった」「リポートや反省文の書き直しを執拗に指示され、提出期限切れとして留年させられた」
 ・暴力:「看護学実習で肩を強く引っ張られ、尻もちをついた」

 

江差の学生がパワハラを道に訴えたことに感心します。相当苦しかったのでしょう。勇気があったし、がんばったなあと思います。しかし、学生がパワハラを訴えても、緊張するし、うまく話せないことが多いのです。効果的なのは、保護者がでしゃばることです。学生はパワハラを受けたらまず保護者に言いましょう。心配をかけたくないと思う必要はありません。保護者は息子や娘のために学校に乗り込むべきです学校は保護者に弱いのです。学費を払うのは保護者ですから、学校でまともな教育が行われていなければ文句を言う権利があります。過保護だと思う必要はありません。

 

ところで、江差高等看護学院の学院長は副学長ら教員のパワハラに対して何をしていたのでしょう?学院長は学生の訴えに対して全くの無力だったそうです。この学校のパワハラの原因は、教員個人の資質もさることながら、学院長や設置者である北海道庁が無能だったことでしょう。トップが無能だとこうなるという典型です。

 

⇒(続きのコラムへ)江差高等看護学院のパワハラ その後

⇒(次のコラムへ)自衛隊のセクハラ意識は時代遅れで恥ずかしい

2022年11月12日

自衛隊のセクハラ意識は時代遅れで恥ずかしい

自衛隊時代のセクハラ被害を実名で訴えた元自衛官の五ノ井里奈さん。セクハラという言い方では軽すぎるので性暴力と表現したほうがいいでしょう。

 

五ノ井さんは訓練中に男性隊員から性被害を受けたことを告発。2022年8月に防衛省に対して第三者委員会による調査を求める署名を提出。防衛省は、内部調査で2020年秋から2021年8月にかけて訓練中に複数の男性隊員が五ノ井さんを押し倒すなどの行為を確認したと発表し、五ノ井さんに全面的に謝罪しました。

 

五ノ井さんは2020年4月に入隊し、福島県の郡山駐屯地に配属されました。以前からセクハラ、パワハラが横行していたところです。五ノ井さんが受けた驚きの性暴力の一部は以下の通りです。もはや性犯罪です。

 

 ・男性隊員から柔道しようと技をかけられ後ろから腰をふられた。
 ・日常的に廊下で急に抱きつかれる。
 ・“おっぱい大きいね”とか“しゃぶってよ”と声をかけられる。
 ・先輩の男性隊員たちのテントに入って、私が料理を作るという仕事があったとき、2人の先輩から胸を揉まれ、頬にキスされ、下着の上から相手の股間を触らされた。長時間続き、消灯時間が過ぎても終わらなかった。
 ・複数の自衛隊員が格闘の技をかけて両手首を押さえつけ、両脚を広げさせて服の上から股間に自分の陰部をこすりつけて、正常位の体勢で腰を振り続けた。

 

五ノ井さんは検察庁に被害届けを出したが、検察庁は「目撃者全員が見ていないと証言」しているので、不起訴と判断しました。ならば、自分から発信しようと思ったそうです。


2022年10月17日、五ノ井さんは国会内で記者会見を行い、4人の隊員が五ノ井さんの訴えを事実と認め、個別に直接、謝罪を受けたことを報告しました。「3人の隊員が土下座するなど何度も頭を下げ、何度も深く謝罪してもらった」が、「謝罪をされたから許される問題ではない。私の傷は一生の傷なので」と語りました。

検察庁は目撃者全員が見ていないと証言したから不起訴と判断したとありますが、私はセクハラに目撃者の証言は全く不要だと考えます。セクハラは周囲に人がいない場合に行われることが多いからです。目撃者が複数いる場合は、常識的に考えれば、誰かが証言するはずで、加害者たちは保身のために口裏合わせをしたことは明白です。検察庁が不起訴にしたのは理解できません。

 

⇒(次のコラムへ)ハラスメントの有無に証人は必要?

2022年11月24日

ハラスメントの有無に証人は必要?

一般的にセクハラの場合は証人を必要としませんが、パワハラなどの場合も、私は証人は必要ないと考えます。セクハラはもちろんの事、パワハラも誰もいない場所や時間帯に行われることがあるからです。ハラスメントの調査委員会が開催された場合、証人がいるかどうかを問われます、特に弁護士がこだわります。証人がいないのでハラスメントは無かったという結果に至ることもあります。「いじめ防止対策推進法」は小中高校のいじめを対象としていますが、いじめの定義を「他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為」により「対象生徒が心身の苦痛を感じているもの」として、被害者の心情を重視しています。つまり、加害者にいじめの意識がなく、いじめを否定してもいじめと認識されるのです。ハラスメントも同じです。被害者が苦痛を感じていれば、証人がいなくても加害者が否定してもハラスメントなのですただし、普通の指導や注意が、被害者の受け止め方によってはパワハラと感じることもあります。どう解決するかは相談担当者や事業主の調整能力にかかっています。

 

⇒(次のコラムへ)ハラスメントの被害者に追い打ちをかける誹謗中傷

2022年11月24日

ハラスメントの被害者に追い打ちをかける誹謗中傷

陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元1等陸士で、性被害について防衛省から謝罪を受けた五ノ井里奈さん(23)が10月 11日、ツイッターを更新。ネット上での誹謗中傷や事実無根の書き込みに、「もう耐えるのも疲れてきた」と吐露した。五ノ井さんは自身に向けられた複数の誹謗中傷投稿を貼り付け、「人を中傷する人生なんて何が楽しいのか分からない。誰かの悪い所10個探すより人の良いところを10個探した方が楽しい。早く笑って過ごしたい。もう耐えるのも疲れてきた。自衛隊側は手遅れになる前に早く本人達の謝罪をして下さい」と訴えた。続くツイートでも、「事実無根。こんな事を言われるために自衛官になった訳でもない」と反論。「言葉で人は亡くなります」と呼びかけた 。

(日刊スポーツ 10月11日配信)

 

セクハラやパワハラの告発を行った女性の多くは同じような被害にあいます。ネットとは限りません。本人の耳に入らなければ幸いですが、社内で陰口をたたかれたり、変人扱いされたりすることは珍しくないと思います。仕事ができないから、変な奴だから、女のくせに生意気だから、等々の理由で「いじめられても仕方がない」と考える男性は結構いるのです。「被害者に問題があるからパワハラを受けても仕方がない」「加害者がかわいそう」といった加害者全面擁護派から、「加害者も悪いが被害者にも非がある」という両成敗派までいろいろです。誹謗中傷は気にするなといっても無理な話で受けたハラスメント以上に本人にとっては大きなダメージとなります誹謗中傷を無くすのは難しいのですが、ハラスメントの研修で意識改革を行うのが効果的です。そのために、研修の対象者は管理職だけではなく社員全員に行うことが大切です

 

⇒(次のコラムへ)パワハラを行う人の特徴って何?

2022年12月31日

パワハラをする人の特徴って何?

パワハラの加害者はほとんどが男性で(上司は男性が多いので当たり前です)、女性が被害者となる事が多いですパワハラをする男性は、本人が意識せずとも、男尊女卑や女性蔑視の考えを持っている人が多いと思います。「女性は出世を望んでいない」「育児や介護で、どうせ無理」と判断し「女性だから昇進させない」と考える男性も結構います。意図的に昇進させないというのはパワハラになります。


また、女性は力も弱く、歯向かってきたり、言い返したりすることが少ないので、被害者となりやすいのです。逆に、気の強い男性、反抗的な男性、力が強そうな男性は被害者になりにくいのです。パワハラは加害者の性格や教養の欠如で起こりますが、弱い者いじめでストレス解消の側面もあります。被害者の同僚からの告げ口など、何らかの動機がある場合もありパワハラを解決するには動機の解明は必須です。

江差高等看護学校の件のように女性が加害者になることもあります。やはり加害者の性格や教養の欠如が主な原因ですが、40代~50代の女性の場合は更年期の症状を頭に入れる必要があります。男性や若い女性には理解できませんが、更年期になるとイライラして怒りっぽくなり、人格が変わったかのようになる人がいます。「中年のおばさんのヒステリー」と揶揄されることがありますが、自分で自覚していてもコントロールできないのです。職場でそれが出てしまうことがあります。以前はそんな人ではなかったのに、最近イライラして部下に当たり始めた女性上司がいたら更年期を疑いましょう。


加害者の生活や心理状況を理解することもハラスメント対策で大切です。

 

⇒(次のコラムへ)江差高等看護学院のパワハラ その後

2023年01月01日

江差高等看護学校のパワハラ その後

2019年に北海道立江差高等看護学校で男子学生が自殺した事件について、第三者委員会が開催され、提出が1分遅れたレポートを受け取られず留年したことなど、3人の教員のパワハラが男子生徒の自殺につながったのではないか、という報告を取りまとめました。(2023/3/24 Yahooニュース)

 

2019年の事件ですから、4年も経っているのです。この第三者委員会は遺族の要望でやっと開催されたもので、道が自発的に立ち上げたものではありません。父母の会」の告発により、2021年に江差高等看護学校のパワハラが発覚したのがきっかけで、これが無ければ泣き寝入りするしかない事件でした。遺族が調査を道に要請した時期は不明ですが、スピード感が無いですね。第三者委員会の開催も今頃?という感想です。

 

パワハラの加害者ですが懲戒処分がなされた気配はなく、一部は道立保健所に移動しました。学校に残った教員もおり、今現在の状況は不明ですが、どんな顔をして学生を指導しているのでしょうか?パワハラのリーダー格の副学院長は、被害者への謝罪もないまま、2022年3月31日で退職しました。自己都合退職なので、退職金はかなり貰ったことになりますね。

 

学校はどうなったかというと、入学希望者は減る一方で、2022年度の入学者は8名、2023年度は2月現在で7名です。定員40名ですから、私立ならば廃校になるレベルです。一度失われた信用を取り戻すのは難しく、取り戻せたとしても長い年月がかかります。パワハラが行われたのは2013年から2020年までとなっていますが、この間に、学生や見兼ねた実習先の医療機関などが道に訴えました、道は何もしませんでした。訴えた時にきちんと対応していれば、こんな状態にはならなかったはずです。

 

のような職場でもパワハラは起る、起ったら即対応です!

 

⇒(次のコラムへ)逆パワハラはパワハラで処分できるの?

2023年03月24日

逆パワハラはパワハラで処分できるの?

上司が部下に注意すると、部下から「パワハラだ!」と指摘され、上司が困惑したり、うつ状態に陥ってしまうことを「逆パワハラ」と呼びます。最近はこの逆パワハラが増えているようです。逆パワハラは一般的にイメージする「パワハラ」とは少し違いますが、広い意味でパワハラに含めます。でも、よほどのことが無い限りパワハラによる懲戒処分の対象になりにくいのですが、代わりに会社の「服務規程」違反での処分が可能です業務命令に従わない、上司に暴言を吐く、無視する、馬鹿にするなど、会社の一員として不適切な言動を行った場合です。ただし「服務規程」を作成している会社でしか適応できません。

 

逆パワハラ」であっても通常の「パワハラ」と同じ扱いになることもあります。部下であっても上司より優位な立場にある場合は、明らかなパワハラとなり懲戒処分されることがあります。例えば、職位が下であっても部下の方が年齢が上の場合や、部下が複数で結託している場合(人数で優位な立場にあります)などは、逆パワハラではなくパワハラとみなしてもいいでしょう。実際にそのような事例があります。

 

上司のメンタルヘルスの観点からも、逆パワハラへの対処は当の上司任せにするのではなく、社長などの会社の責任者が注意するのが望ましいのですが、社長に直接訴えるのが気後れする場合は、産業医や社内または外部の相談窓口にまず相談してみるのも良いでしょう。注意しても態度を変えない場合は、「服務規程」がある場合は規定違反で懲戒処分最悪の場合は弁護士へ相談となります。

 

逆パワハラが発生する原因として、上司の指導力不足や会社の意識の欠如がよく挙げられます。実際に、無能な上司は結構いますね。事務処理能力に長けているので昇進したが、管理職になったら無能で、部下が困っているという状況は珍しくありません。部下の立場に立てば、腹立たしい気持ちは理解できます。しかし、通常の注意や指導に対して、常識のある社会人ならば意見を言うことはあっても、暴言を吐く、馬鹿にするなどの行為はしないと思います。

 

逆パワハラが発生する部下の側の原因のひとつに、部下の性格や知性の問題があります性格や知性に問題がある人はたくさんいますが、度を超えると精神疾患ではないかと疑うべきです。精神疾患の一種にパーソナリティ障害というのがあり、いろいろなタイプに分類されていますが、無責任な行動をとったり、衝動的であったりなど他者を困らせる行動を取るタイプがあります。発達障害の一種でADHD(注意欠陥・多動性障害)という精神疾患も感情のコントロールができず、暴力や暴言を吐いたりすることがあります。ADHDは「不注意」「忘れ物が多い」「過度なおしゃべりや不用意な発言」「感情が不安定」などの特徴があり、パワハラの被害者にもなりやすいのです。双極性障害(躁うつ病)の躁状態の時も、上司に限らず周囲とトラブルを起すことが多いです。

 

精神疾患はなさそうだが、明らかに仕事の能力がないにもかかわらず、文句を言ったり暴言を吐く場合は、知能が低い境界知能者(IQが70から84)かもしれません。(境界知能者についてはコラム「ハラスメントの中ではカスハラが一番厄介」をご覧ください)また、入社したころは問題なかったのに、30過ぎて中堅になった頃から人が変わったように急に怒り出すことが多くなったり、人格が変化してきた場合も、稀ではありますが、脳の疾患など何がしかの病気の初期段階の可能性があります。

 

もちろん、逆パワハラの場合は、単に部下の性格や常識の欠如であることが多く、注意すれば解決する可能性があると思いますが、精神疾患などを持つ場合は対応が難しく、また、本人が精神疾患を自覚していないことも多いので、部下の精神状態または性格が人と違うと感じたら、社内または社外のパワハラ相談窓口に相談し、窓口担当者は産業医に連絡して下さい。従業員が50人未満の職場は産業医がいませんので、各地の医師会館に中にある地域産業保健センターを利用してください。

 

上司が部下に、部下が上司に自由に意見を言える職場環境は素晴らしいもので、会社には明るい未来が待っていますしかし、意見を言うのと暴言を吐いたり馬鹿にするのは違います。部下にやたらと気を遣う、注意したくてもできないという職場環境は、上司が精神的にダメージを受けます。また、社員全体のモチベーションも下がります。逆パワハラを我慢する必要はありません。場合によってはパワハラと同様に扱いましょう。ただし部下を過度に注意すると本当にパワハラになってしまいますので、逆パワハラの対処はパワハラの対処よりも難しい場合があります。そのような時には、社内の人間ではなく外部の人(ハラスメント外部相談窓口など)に関わってもらうのも1つの手だと思います。自由に意見を言える環境を作るためにも、「逆パワハラ」にもきちんと対処しましょう。

 

⇒(次のコラムへ) カスタマーハラスメントは老害?

2023年04月01日

カスタマーハラスメントは老害?

先日、「ミヤネ屋」というTV番組でカスタマーハラスメント(略してカスハラ)を特集していました。カスハラとは客からの著しい迷惑行為のことで、要するに客からのパワハラです。ちょうど私がコラムで書こうと思っていた題材だったので、真剣に見てしまいました。私が目撃したとても記憶に残っているカスハラがあります。10数年前になりますが、札幌市内のデパートで高齢の男性客が定員にしつこく怒鳴りつけている場面に遭遇したことがあります。ずいぶん長い時間、1人の男性店員に大声で怒鳴っていました。店員は謝っていましたが非常に困惑しており、気の毒でした。私が不思議に思ったのは、周りにたくさん店員がいるのに、誰一人助けようとしなかったことです。見て見ぬふりをしていました。もっと困惑していたのは他の客です。私もその一人でしたが非常に不愉快でした。今でこそカスハラが認知されてきましたが、当時はカスハラという言葉さえ無い時代で、 「お客様は神様」で我慢せざるを得なかったのです。

 

ミヤネ屋」では、カスハラを行うのは年齢50歳以上のほとんどは男性だと言っていました。やはり、納得です。カスハラは増えており、厚生労働省は令和3年に「カスタマーハラスメント対策マニュアル」を発表しました。かなり分量があります。それだけ深刻だということでしょう。マニュアルによると、カスハラによる従業員への心身への影響は深刻で「眠れなくなった」13.8%、「会社を休むことが増えた」4.9%、「通院したり服薬をした」4.3%、「入院した」も0.8%いました。「仕事に対する意欲が減少した」は46.2%もあり、会社にとっては損失です。このマニュアルではカスハラを受けた時の対応も具体的に示されています。職種によって当てはまらない事もありますが、参考になります。

 

カスハラを受けた時の内部手続きの手順も示されています。カスハラは客からのパワハラですから、従業員は社内のパワハラ相談窓口または現場監督者(職場の上司や責任者)に相談・報告します。カスハラの場合は外部相談窓口は役に立ちません。外部相談窓口に言っても、結局は現場監督者に報告が行くだけです。外部が関わる場合は、弁護士や警察です。「お客様は神様」という考えは捨てて、悪質な場合は警察と連携することをためらわないでください。場合によっては、家族へ連絡することも考えて下さい。

 

カスハラの中には「従業員を長時間拘束して同じ話を繰り返すクレーム」というのがあります。私は、高齢の女性が飲食店の会計や銀行・郵便局で長々と同じ話を繰り返し、一向に話を終える気配がない、店員をただの話し相手にしているのを何度も見たことがあります。全員女性で、耳が遠いせいか、大きな声で話します。クレームではないのですが、従業員の仕事に支障をきたしますし、他の客の待ち時間が長くなり非常に迷惑です。従業員は途中で話を遠慮なく遮ってよいと思います。

 

結局、カスハラが増えているのは「高齢者が増えていること」が原因で、カスハラは「老害」と言えるのではないでしょうか?解決法は「客を神様とは思わないこと」「毅然と対処すること」「場合によっては外部の介入を躊躇しないこと」「会社側にも客を選ぶ権利があると意識を変えること」ですね。


20年以上前は店員の中にも感じが悪い人がいました。私が経験したのは有名デパートのお総菜売り場で、若いアルバイト風な女子店員2人が客の注文を無視したり、近くの客を指さして笑ったりしていました。私の場合は注文したら睨まれました、買ってはいけないのだと思ったくらいです。最近の店員さんはみな感じが良く、不愉快な思いをすることはありません。だから会計の時には私も明るく「お願いします」「ありがとうございます」「ごちそうさまでした」などと言うようにしています。

 

⇒(次のコラムへ)ハラスメントの中ではカスハラが一番厄介


2023年04月29日

ハラスメントの中ではカスハラが一番厄介

カスタマーハラスメント(カスハラ)はお金を払っている客が優位に立つことで起こるパワハラの一種です。加害者が客なので厳しく接することが難しいということで、最も対処が難しいパワハラです。前回のコラムではカスハラは老害だと書きましたが、今回はカスハラ客に男性が多いことに目を向けてみました。

 

2023年7月14~16日、企業の危機管理を支援する「エス・ピー・ネットワーク」という会社がインターネットで、直近1年間にクレーム対応を行った経験のある男女20〜60歳代の会社員1030人に対して実態調査を行いました。結果の概要は以下の通りです。

・「カスハラを受けたことがある」と回答したのは64.5%であった。
・カスハラを「6回以上」受けたという人は10%を超えていた。
・カスハラを行ったのは、性別では男性が81.1%、女性が18.9%、年代別で40歳以上が  88.9%を占め、50歳以上では66.5%であった。
・カスハラ対策の方針がない企業は55.3%に上った。
・約70%の企業がカスハラ対策に課題を感じていた。                ・土下座の要求や3時間以上の拘束など厳しいカスハラ行為も多数発生していた。

 

具体的な事例としては、
・長時間居座る。スタッフ指名で電話してきて商品と関係ない話で1時間以上拘束。自宅 に来る。何度も同じ商品について連絡し拘束する。
・保証期間が過ぎているにもかかわらず、無償で交換や修理をさせる。
・毎日、「お前ら海に沈めてやる」などと電話。見知らぬ人から職場の前で見張られてい た。会社は、何かされるまでは対応できないと切り捨てられた。(サービス業(医療・介 護・薬事) ))
・「あなたみたいな中年で仕事ができない人は許せない」「顔がふざけてる」「真剣に謝 っていない」「自分のほうが良い大学に行っている」「大学に行ってもこんな会社に就 職したのか」と、3時間以上言われ続けた。
・理不尽な言いがかりで店内で騒ぎ、執拗に土下座を要求。料理もサービスも望んだレベ ルではないのでお金は払わないと主張する。(サービス業(その他))
・謝罪しても何度も同じように自宅に呼ばれ謝罪を要求される。解決と思われても、市や 県に苦情としてあげるので、また謝罪を重ねる。1年経っても同じ要求が続いているので 困っている。(サービス業(医療・介護・薬事))

 

事例を見ると、もはや恐喝という罪名の刑法犯に近いのではないかと思います。カスハラを行うのは男性が8割を占めますが、性差が大きいのは、男性が粗暴であるということの他に知能が関係しているように思います。研究報告によって少し違いがありますが、男性と女性の知能指数の分布は異なります。知能指数の平均値は男女でほぼ同じですが、女性は平均値近くに集まっているのに対して、男性はばらつきが大きく、知能の高い人が多いけれど低い人も非常に多いのです。

 

刑法犯も男性が8割を占めるのです。日本の刑務所ではCAPAS(IQ相当値だが従来の知能指数とは異なる)という能力検査を行って受刑者の知能指数を調べています。2021年の矯正統計調査によると、男性ではIQが70未満の知的障害者は19.9%(一般人は2%)、IQが70から84の境界知能者は34.1%(一般人は14%)でした。すなわち受刑者の8割が男性で半分以上が知能に問題があるということになります。

 

境界知能者は、学校では勉強ができなくて落ちこぼれることがありますが、社会に出れば知的障害者と違って一般人として生活できますので、知能が低いという認識を周囲の人は持ってはいないと思います。大学や専門学校に進学する人もいます。「ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治)」(新潮新書)によると、境界知能者の非行少年の特徴は以下の5点だそうです。
1)想像する力が弱いので、悪いことをしても反省できない。
2)感情を統制できない。キレやすい。
3)融通が利かないので、被害感が強い。
4)自己評価が不適切で、自分の事は棚に上げて他人の欠点ばかり指摘する。
5)対人スキルが乏しい。

 

非行少年の特徴ですが、カスハラ客にぴったり当てはまりますね。カスハラ客に男性が多いのもうなずけます。知能は正常だが「粗暴である」「性格が異常である」というカスハラ客もいますが、「知能が低い人が多い」と仮定すると、誠意を込めて謝罪や説得しても、言っていることを理解出来ていない可能性があります。回転ずしなどで迷惑行為を行う若者がいますが、おそらく知能が低いのでしょう。将来カスハラ客になる可能性大です。コミュニケーションを取るのが難しい人に対応するのはストレスが溜まり、時間の無駄です。では、このような人たちにどのように接したら良いのでしょうか?

 

次のような対応を提案します。

①まじめに真摯に向き合うのをやめること。
②会社側に落ち度がなければ、絶対に謝らない、毅然とすること。謝ると味を占めて   何度もカスハラを繰り返します。
③無視するという選択肢も持つこと。
④周りに会社の仲間がいる場合は味方してもらう。人数で対抗です。特に女性が対応   していて客が男性の場合は恐怖を感じますので、男性に加勢してもらいましょう。
⑤警察に相談することをためらわず、そのことを客に伝えること。
⑥対応を個人任せにするのではなく、会社が前面に出ること。


書いていて気分が暗くなります。「言うは易く行うは難し」です。話の通じない相手に向き合うわけですから、カスハラ対応は非常に難しいです

 

2023年2月9日現在、北海道議会では全国初のカスハラ防止条例の制定を検討しています。ヒグマの駆除で行政機関に苦情が殺到して通常の業務に支障がでたのがきっかけですが、北海道の人出不足解消のためには職場環境を整えるのが必要と判断したようです。ヒグマのおかげです。カスハラの範囲や罰則の有無などを検討するとのことですが、どのような内容になるのか期待したいです。

 

⇒(次のコラムへ)LGBT法は不要な法律

2023年09月03日

LGBT法は不要な法律

令和5年6月23日に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」いわゆる「LGBT理解増進法」さらに省略して「LGBT法」という「性について理解を深めよう」という変な法律が交付されました。LGBTのうちLはlesbian、Gはgay、Bはbisexualの略で、いずれも性的指向が普通とは違う人たちの事です。一般社会で働く場合、性的指向はどうでもいいことで、社会に向かって高らかに宣言することではありません。会社の同僚、取引先、客、患者が知ったとしても、「私生活では勝手にどうぞ」で、わざわざ法律で理解を求める類のものではないのです。とはいえ、上司からパワハラを受けたり、同僚にからかわれてセクハラされたり、会社で不利益を被ることはあると思います。このような場合はハラスメント防止法に従えば良いわけで、LGBT法をハラスメント防止法に包含すればいいのです。性の理解を法律で求めてしまうと、次のような事態が起こるかもしれません。例えば、ゲイの人が同僚の男性を好きになりアプローチしたとします、相手の男性がゲイではない場合、当然嫌がります。その時に「気味が悪い」「ゲイは嫌い」と言って断った場合、「ゲイを理解していない、LGBT法違反だ」となるかもしれません。また、ジャニー喜多川氏は若い少年好きのゲイでしたが、ジャニー氏の行為を断らずに受け入れていたタレントもいる以上、LGBT法に従うと、ジャニー氏の性的指向を理解すべき、ということになりますよね?

 

「私生活では勝手にどうぞ」とはいかないのがLGBTのTつまりtransgenderです。日本語では「性同一障害」と言われてきました。精神障害の分類はWHOの「国際疾病移分類(ICD)」と米国精神医学会の「DSM分類」が使われます。「性同一障害」はICD分類では「精神・行動・神経発達障害」という精神障害に含めていましたが、2018年に精神障害から外れて「性の健康に関連する状態」という新しい分類に移行し、「性別不合」という名称に変更になりました。DSM分類でも「性別違和」に変更されました。すなわち精神障害ではないけれど、性に関して心に問題を抱えている状態ということです。「性別不和」は個人の心の中で起こっている状態で、他人は関係ありません。それを法律で理解を求めようというのは、自身の心の問題に由来する生きづらさの解決を社会に押し付けるということになります。

 

「性別不和」で大きな問題となるのは、「体が男性で心が女性」つまり「生まれたときの性別は男性、性自認は女性」の人でしょう。この人たちを「トランスジェンダー女性」と表現します。LGBT法の交付に際して、厚生労働省は「公衆浴場で性別不和の男性が女性用の浴場の利用を求めても、施設側が身体的な特徴の性をもって男女を判断し、断ることを容認する」という通達を出しています。「女湯に入ることを禁止する」と言わず、「判断を各施設に委ねる」というところが政府のずるい所です。2023年11月13日、「体は男で、心が女」だと主張する「男性」が桑名市の温泉施設の女湯に入って体を洗い現行犯逮捕された、という事件がありました。この手の事件は以前からあったはずですが「LGBT法」の交付により男性が女湯に入る口実を与えることになってしまいました。また、2023年12月8日、米子市内の大衆浴場の女湯で、20代の女性の体を触るわいせつな行為をして32歳の男が逮捕されました。8日の時点で、米子警察署は男の心が女性であるかどうかは捜査中で、男性器がついているかは確認中とのことです。「えっ、心が女かどうかは関係ないでしょう、男性というだけでダメでしょう」と私は思いましたが、LGBT法のせいで警察も大変です。もし心が本当に女であれば罪は軽くなる、あるいは無罪放免になるのでしょうか?

 

⇒(次のコラムへ)トランスジェンダー女性が女子トイレに入ってきました、十数年前のことです。

2024年01月02日

トランスジェンダー女性が女子トイレに入ってきました、十数年前のことです。

前回のコラム)LGBT法は不要な法律の続き


浴場よりも厄介なのはトイレです。トイレは一日に何回も使います。職場や学校などいろいろな場所にたくさんありますので、トランスジェンダー女性(心が女性の男性をこう表現します)が女性用トイレを使用する可能性は浴場よりも高いはずです。トランスジェンダー用のトイレを設置すればいいではないかという人もいますが、トイレを新たに作るというのは大変なことで、スペースが必要ですしお金もかかります。十数年前になりますが、私は次のような経験をしました。札幌駅のトイレで手を洗っていた時に、たまたま私1人だったのですが、化粧をして女装した男性が「私は男ですが心は女なんです。このトイレ使ってもいいですか?」と言って入ってきました。びっくりして、とても恐ろしかったので、急いでトイレから出ました。心がどうであれ男性が女性トイレに入って来た時に恐ろしいと感じるのは私だけではなく、すべての女性の感覚でしょう。浴場や更衣室でも同じで、男性と同室になる感覚には恐怖感が伴います。このトイレ事件は私だけが経験した特殊な事例ではないはずです。トイレタイムは短いので、いちいち警察には通報しないのです。 LGBT法の交付で、このような事件が増えていくのではないかと思います。

 

トランスジェンダー女性が女子トイレを利用することに女性が嫌悪し恐怖を覚えるのは、「トランスジェンダーに対する女性の理解が足りない」からではありません。トイレの区別は泌尿器の形態の違いで分けられています。泌尿器が生殖器と近いあるいは同じなので、性別の問題として間違って扱われているのです。男性の尿の排泄の仕方は個室を必要とせず、簡単な仕切りで大丈夫ですが、女性の排泄は下着を下げなければできませんので、個室が必要になります。さらに女性には生理がありますので、尿の排泄ついでに生理用品の交換を行います。男性は一生行うことのない作業です。だから男女を別にするのです。男性の泌尿器を持っている人は男性トイレを使うべきです。心は関係ありません。本当に心が女性ならば、男性がトイレに入ってきたら女性が困ることを理解できるでしょう。女子トイレを使いたいという男性は心も男性なのです。

 

LGBT法が交付されたせいで、いろいろな場所でトランスジェンダー用のトイレを設置する動きがありますが、必要なのでしょうか?トランスジェンダー女性は男性の泌尿器で排泄しているので男子トイレを使い(個室があります)、体が女性のトランスジェンダー男性は、女子トイレは全部個室なのでそのまま女性トイレを使えば良いのです。男性で女子トイレを使うことができるのは性別適合手術を受けて性別変更した人だけです。トランスジェンダー女性が男子トイレを使用する場合、個室が少なくすぐに使えないことがあるという苦情がありますが、女子トイレは待ち時間が長いことが頻繁にあります。女性はトイレで時間がかかるので、トイレに長蛇の列ができることは珍しくありません。こういう主張をするトランスジェンダー女性は所詮男性なので、日常生活の様々な場面で女性の置かれている面倒な状況を全くわかっていないのだと思います。


⇒(次のコラムへ)トランスジェンダー女性が女性を踏み台にする

 

 

2024年01月02日

トランスジェンダー女性が女性の邪魔をする

(前回のコラム)トランスジェンダー―女性が女子トイレに入ってきました、十数年前の事ですの続き

 

私は大学や専門学校で公衆衛生学を教えていますが、経験上、200名くらいの学生がいたら、わかる範囲内ですが、1名くらいはトランスジェンダーが存在します。私が経験したトランスジェンダーの学生は、入学時は女性でしたが性別適合手術をうけて、卒業時には完全に男性になっていました。同級生も教員も差別や特別視することなく、普通に接していましたし、同級生とも仲良くやっていました。女性の時は女性トイレを、男性になってからは男性トイレを使用していました。私が女性だと思って教えていた学生は実は男性だったという逆のパターンもありました。LGBT法については、何を今さらという思いです。個人の性的嗜好や性の「区別」を「差別」に置き換えたり、心の性の権利を過度に主張して女性に不利益を与えるなどして、逆にトラブルを招くだけではないでしょうか?

 

「性別不和」の診断は簡単ではありません、医療チームで行います。まず、精神科医が、本人や家族から現在の状態や成育歴を聴取して「心の性」を確定します。産婦人科と泌尿器科が生殖器の形態や性染色体・ホルモン検査などから「身体の性」を確定します。心の性と身体の性とが一致していなければ「性別不和」の診断がなされます。さらに第三者の委員の加わった適応判定会議によって承認されることで、ホルモン療法や性別適合手術に進むことができます。診察も受けず「性自認」を自己主張するトランスジェンダー女性(心が女性の男性をこう表現します)は、心の性で生活することは勝手ですが、男性の泌尿器や生殖器を持っていて機能している以上、女性が恐怖を覚えたり嫌な思いをする行為や、女性の活躍や権利を侵害する行動はやめていただきたいのです。

 

女性が恐怖を覚えたり嫌な思いをする行為というのは、女性の浴場・トイレ・更衣室を使うこと。女性の権利を阻害する行動とは、交通機関の女性専用車両に乗車したり、職場におけるポジティブ・アクションの対象になったり、女性のスポーツに参加することなどです。ポジティブ・アクションとは、「営業職や管理職に女性がほとんどいない」など男女格差が生じている職場で、女性社員の活躍推進を積極的に推進しようとする企業の取り組みのことを言います。LGBT法の交付によって、トランスジェンダー女性を女性として理解すべき、だからポジティブアクションの対象になる、なんていう主張が起るかもしれません。男性から社会進出を妨げられてきた女性が、今度はトランスジェンダー女性から邪魔されるという事態になりかねません。


⇒(次のコラムへ)トランスジェンダー女性の女子スポーツ競技への参加はメダルを取るための手段である

 

2024年01月02日

トランスジェンダー女性の女子スポーツ競技への参加はメダルを取るための手段である

(前回のコラム)トランスジェンダー女性が女性の邪魔をするの続き

 

欧米や国際的なスポーツ大会では、女性のスポーツにトランスジェンダー女性(心が女性の男性をこう表現します)が参加してメダルを獲得しています。男性と女性が同じ競技で競うと男性が優位なのは明らかで、血のにじむような努力をして練習をしてきた女性のチャンスを奪うことになります。考えるまでもなく明らかなことで、欧米のLGBT擁護派は相当に頭が悪いか、そうでなければ意図的に女性への嫌がらせを行っているとしか思えません。本当に女性の心を持っているならば、女性が勝つ機会を奪うことはしないはずです。やり投げの北口榛花さんが、2023年の陸上世界選手権ブダペスト大会で金メダルを取った時の記録は66m73cmでした。この記録は日本の男子高校生のやり投げ記録の上位100位にも入らないのです。北口榛花さんは身長175cm、体重86kg、男子高校生の平均身長は170cmくらいですから、彼女の体格は男性を凌ぐのですが、記録ははるかに及ばないのです。また、米国の陸上女子100mの選手であったマリオン・ジョーンズは1998年に10秒65という当時の世界記録を出していますが、日本の男子高校生の100m歴代ランキングの上位500人にも入りません。しかも彼女は、ステロイドホルモンを使用したドーピングが発覚し、2000年のシドニーオリンピック以降のメダルをはく奪されました。ステロイドを使っても日本の高校生男子にも及ばないということです。

 

ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーは、2020年、国際スポーツ組織としては初めて女子のエリートレベルおよび国際レベルの試合でトランスジェンダーの女性の出場を禁止しました。トランスジェンダー女性のラグビー選手と女性が戦う場合、女子選手の大けがや場合によっては死の危険が生じます。素早くかつ正しい判断だったと思います。2022年6月に国際水連、2023年3月には世界陸連が、それぞれ、トランスジェンダー女性の女子種目出場の禁止を発表しました。当たり前で当然の処置だと思いますが、反対を表明する団体もあり、国際オリンピック委員会(IOC)は2021年11月に、トランスジェンダーの選手が女子スポーツで不当に優位だと無条件に仮定すべきではないと表明しています。すなわち、IOCはトランスジェンダーの選手の女子スポーツへの参加には反対しないということです。トランスジェンダーの支援団体も「トランスジェンダーに対する差別であり、有害、非科学的で、2021年のIOC(国際オリンピック委員会)の原則に沿わない」として猛反対しています。LGBTのおそらく一部の人たちは被害者意識が高く、どうして論理的に考えることができないのでしょうか?女子競技に参加できないのは、差別ではなく「区別」、トランスジェンダーが参加すること自体が「有害」、非科学的ではなく「非常に科学的」なのです。スポーツに対する種々の能力は男性が女性よりはるかに優れていることは、北口榛花やマリオン・ジョーンズの例を挙げるまでもなく、明白です。

 

また、女性には生理があり、女性アスリートは苦労して生理と付き合っています。生理は競技のパフォーマンスにも影響します。オムロン ヘルスケア株式会社が、2022年に女子大学生アスリート165人に生理についての調査を行っていますので興味のある方はチェックしてみて下さい。生理がないという一面だけを見ても、体が男性のトランスジェンダー女性は明らかに優位なのです。トランスジェンダー女性が女子スポーツの試合に参加することはメダルを取るための手段で、女性を踏み台にしているとしか思えません。IOCの会長は男性で、理事も男性が多い。だから女性のことを思いやることができないのでしょう。あるいは、LGBT関連団体からかなりの額のお金を貰っているのではないでしょうか?

 

ではトランスジェンダーはどのようにしてスポーツに参加すべきでしょうか?性別適合手術を受けた女性(元男性)はトイレ・浴場・更衣室は女性用でいいと思いますが、女性スポーツへの参加は不可でしょう。男性として獲得された骨格・筋力・皮下脂肪量など、特に骨格は、生物学的に完全に女性並みになる事はないからです。性別適合手術の有無にかかわらず、出生時の性に従ってスポーツに参加するか、トランスジェンダーだけの競技会を行えば良いのです。日本人は常識的で賢いので、日本の競技会でトランスジェンダー女性が女子スポーツに参加することは許可しないでしょう。そう願うばかりです。


⇒(次のコラムへ)職場でLGBTをどう扱うべきか

2024年01月02日

職場でLGBTをどう扱うべきか

(前回のコラム)トランスジェンダー女性の女子スポーツ競技への参加はメダルを取るための手段であるの続き

 

私の経験したトイレ事件が衝撃的だったので、LGBTについてたくさん書いてしまいましたが、職場ではLGBTの人たちをどう扱うべきでしょうか?どのような人材を採用するかは企業が決めることですから、LGBTの人が不採用になっても文句はいえません。ただし、採用試験の時に性に関する事を聞くのは御法度です。採用後にLGBTであることをからかったり、バカにするような言動、LGBTであることを理由に降格処分や解雇をするといった行為はパワハラになりますので、そこは気を付けなければなりません。本人の勤務態度が良くない、仕事の能力が低いなどの理由で昇進できないのに、LGBTであるから差別を受けたと言いがかりをつけてくる人はいるかもしれません。その場合は逆パワハラになります。トランスジェンダー女性が女子トイレを使い、上司から男子トイレを使うように指示された場合、理解が足りない差別だと主張するかもしれません。そこで、職場では女性を守るため、以前のコラム「逆パワハラ」で述べたように服務規程を作るべきです。トイレ・更衣室の使用は本来の性または性別適合手術後の性、つまり戸籍上の性に基づいて使用することを明記すべきではないかと思います。

 

また、社員旅行がある場合、トランスジェンダー女性は男性・女性どちらの相部屋にすべきでしょうか?相部屋の女性が気にしなければ、本人の希望に従えば良いのですが、望まない女性が多いでしょう。女性との相部屋になる事を無理に主張したとすれば、それはトランスジェンダー女性によるパワハラ・セクハラになります。以前のコラムでも書きましたが、パワハラは上司と部下の間で起こるとは限りません。地位、年齢、性、体格、人数など優位な立場にある者が行う嫌がらせがパワハラです。トランスジェンダー女性は体は男性ですから女性に対して優位な立場にあります。

 

LGBT法では社会に対して理解を要求していますが、LGBTの人たちは、その行動の責任も大きくなるということがわかっているのでしょうか?例えば、セクハラは男女双方向で起こる性的嫌がらせのことです。普通の男女では男性と女性が性的関係になりますので、男性から女性または女性から男性へのセクハラが対象で、同性へのセクハラは普通は稀れだと思います。強いて挙げれば、同性に対して彼氏・彼女がいないことやおっぱいやお尻が大きいこと、身長が低いことをからかったり、といったところでしょうか。ゲイは男性ですから女性に対する性的な言動は当然セクハラですが、性の対象は男性なので男性に対する性的言動もセクハラということになります。同じことがレズビアン、バイセクシャルにも言えます。トランスジェンダー女性も、体が男性ですから女性に気を使い、心は女性ですから男性へのセクハラにも注意しなくてはなりません。LGBTは男女両方へのセクハラに気を付けなくてはならないのです。また、上司がトランスジェンダーで部下に自分の性を押し付けた場合、例えば、女性社員の意向を聞かず、あるいは女性社員が拒否しているにもかかわらずトランスジェンダー女性に女子トイレや更衣室を使うことを許可した場合、パワハラに相当します。トランスジェンダーに対する理解云々は関係ありません。

 

結局、LGBT法は不要な法律なのです。自分の性的嗜好や個人の心の問題の理解を社会に要求する法律など要らないのです。廃止すべきです。

 

カスハラ対応と同じで、企業は社員(特に女性)を守るという毅然とした姿勢が大切です。

 

 

 

2024年01月02日