カスタマーハラスメントは老害?
先日、「ミヤネ屋」というTV番組でカスタマーハラスメント(略してカスハラ)を特集していました。カスハラとは客からの著しい迷惑行為のことで、要するに客からのパワハラです。ちょうど私がコラムで書こうと思っていた題材だったので、真剣に見てしまいました。私が目撃したとても記憶に残っているカスハラがあります。10数年前になりますが、札幌市内のデパートで高齢の男性客が定員にしつこく怒鳴りつけている場面に遭遇したことがあります。ずいぶん長い時間、1人の男性店員に大声で怒鳴っていました。店員は謝っていましたが非常に困惑しており、気の毒でした。私が不思議に思ったのは、周りにたくさん店員がいるのに、誰一人助けようとしなかったことです。見て見ぬふりをしていました。もっと困惑していたのは他の客です。私もその一人でしたが非常に不愉快でした。今でこそカスハラが認知されてきましたが、当時はカスハラという言葉さえ無い時代で、 「お客様は神様」で我慢せざるを得なかったのです。
「ミヤネ屋」では、カスハラを行うのは年齢50歳以上のほとんどは男性だと言っていました。やはり、納得です。カスハラは増えており、厚生労働省は令和3年に「カスタマーハラスメント対策マニュアル」を発表しました。かなり分量があります。それだけ深刻だということでしょう。マニュアルによると、カスハラによる従業員への心身への影響は深刻で「眠れなくなった」13.8%、「会社を休むことが増えた」4.9%、「通院したり服薬をした」4.3%、「入院した」も0.8%いました。「仕事に対する意欲が減少した」は46.2%もあり、会社にとっては損失です。このマニュアルではカスハラを受けた時の対応も具体的に示されています。職種によって当てはまらない事もありますが、参考になります。
カスハラを受けた時の内部手続きの手順も示されています。カスハラは客からのパワハラですから、従業員は社内のパワハラ相談窓口または現場監督者(職場の上司や責任者)に相談・報告します。カスハラの場合は外部相談窓口は役に立ちません。外部相談窓口に言っても、結局は現場監督者に報告が行くだけです。外部が関わる場合は、弁護士や警察です。「お客様は神様」という考えは捨てて、悪質な場合は警察と連携することをためらわないでください。場合によっては、家族へ連絡することも考えて下さい。
カスハラの中には「従業員を長時間拘束して同じ話を繰り返すクレーム」というのがあります。私は、高齢の女性が飲食店の会計や銀行・郵便局で長々と同じ話を繰り返し、一向に話を終える気配がない、店員をただの話し相手にしているのを何度も見たことがあります。全員女性で、耳が遠いせいか、大きな声で話します。クレームではないのですが、従業員の仕事に支障をきたしますし、他の客の待ち時間が長くなり非常に迷惑です。従業員は途中で話を遠慮なく遮ってよいと思います。
結局、カスハラが増えているのは「高齢者が増えていること」が原因で、カスハラは「老害」と言えるのではないでしょうか?解決法は「客を神様とは思わないこと」「毅然と対処すること」「場合によっては外部の介入を躊躇しないこと」「会社側にも客を選ぶ権利があると意識を変えること」ですね。
20年以上前は店員の中にも感じが悪い人がいました。私が経験したのは有名デパートのお総菜売り場で、若いアルバイト風な女子店員2人が客の注文を無視したり、近くの客を指さして笑ったりしていました。私の場合は注文したら睨まれました、買ってはいけないのだと思ったくらいです。最近の店員さんはみな感じが良く、不愉快な思いをすることはありません。だから会計の時には私も明るく「お願いします」「ありがとうございます」「ごちそうさまでした」などと言うようにしています。
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