自衛隊のセクハラ意識は時代遅れで恥ずかしい
自衛隊時代のセクハラ被害を実名で訴えた元自衛官の五ノ井里奈さん。セクハラという言い方では軽すぎるので性暴力と表現したほうがいいでしょう。
五ノ井さんは訓練中に男性隊員から性被害を受けたことを告発。2022年8月に防衛省に対して第三者委員会による調査を求める署名を提出。防衛省は、内部調査で2020年秋から2021年8月にかけて訓練中に複数の男性隊員が五ノ井さんを押し倒すなどの行為を確認したと発表し、五ノ井さんに全面的に謝罪しました。
五ノ井さんは2020年4月に入隊し、福島県の郡山駐屯地に配属されました。以前からセクハラ、パワハラが横行していたところです。五ノ井さんが受けた驚きの性暴力の一部は以下の通りです。もはや性犯罪です。
・男性隊員から柔道しようと技をかけられ後ろから腰をふられた。
・日常的に廊下で急に抱きつかれる。
・“おっぱい大きいね”とか“しゃぶってよ”と声をかけられる。
・先輩の男性隊員たちのテントに入って、私が料理を作るという仕事があったとき、2人の先輩から胸を揉まれ、頬にキスされ、下着の上から相手の股間を触らされた。長時間続き、消灯時間が過ぎても終わらなかった。
・複数の自衛隊員が格闘の技をかけて両手首を押さえつけ、両脚を広げさせて服の上から股間に自分の陰部をこすりつけて、正常位の体勢で腰を振り続けた。
五ノ井さんは検察庁に被害届けを出したが、検察庁は「目撃者全員が見ていないと証言」しているので、不起訴と判断しました。ならば、自分から発信しようと思ったそうです。
2022年10月17日、五ノ井さんは国会内で記者会見を行い、4人の隊員が五ノ井さんの訴えを事実と認め、個別に直接、謝罪を受けたことを報告しました。「3人の隊員が土下座するなど何度も頭を下げ、何度も深く謝罪してもらった」が、「謝罪をされたから許される問題ではない。私の傷は一生の傷なので」と語りました。
検察庁は目撃者全員が見ていないと証言したから不起訴と判断したとありますが、私はセクハラに目撃者の証言は全く不要だと考えます。セクハラは周囲に人がいない場合に行われることが多いからです。目撃者が複数いる場合は、常識的に考えれば、誰かが証言するはずで、加害者たちは保身のために口裏合わせをしたことは明白です。検察庁が不起訴にしたのは理解できません。
⇒(次のコラムへ)ハラスメントの有無に証人は必要?