悪名高き道立江差高等看護学院のパワハラ
日本全国に知れ渡った北海道の有名なパワハラと言えば、あの道立江差高等看護学院の事件でしょう。パワハラの内容もさることながら、道のあまりにもずさんな対応も全国的に有名になりました。教育機関として前代未聞です。パワハラが行われたのは2013年から2020年まで、加害者は副学院長を筆頭として教員11人(全員女性で看護師)、被害者は聞き取り調査可能だった学生だけでも14人。休学や退学に追い込まれた学生が多数おり、すでに就職している卒業生も加えると相当な数になるはずです。自殺した男子学生もいます。定年退職や移動した教員もいるはずですから、加害者の教員の数ももっと多いはずです。江差以外に紋別高等看護学院でも18件のパワハラがあり、両校で同じ加害者がいました。つまり紋別でパワハラを行い、移動してきた江差でも行っていたわけです。
学生や保護者(父母の会を結成)は道にパワハラの実態を訴えたが対応せず、それどころか、新聞記者が行った情報開示請求を加害者である看護学校に漏らし隠ぺいする時間を与えるなどしました。2021年4月になって道は保護者説明会を開いたがパワハラは認定せず、学生や保護者は反発を強めます。道議会でも議題に上り、2021年7月にやっと第三者調査委員会が設置され、パワハラの調査がなされました。調査対象とした101件のうち、パワハラと認定されたのは52件でした。驚いたことに、加害者には懲戒処分がなされることはなく、職場の移動が行われただけでした。
学生が受けたパワハラは、とても教育機関とは思えない以下の内容でした。
・生徒への人格否定:「バカじゃないの」「お前みたいなバカは死ね」「あなたは指導する価値がない」
・暴言・脅し:「ペンでぶっ刺すぞ」「顔もみたくない」「殴る蹴るの暴行をしたくなる」
・退学・休学の強要:「執拗に休学を促された」
・指導の放棄・嫌がらせ:「講義に出させてもらえず、単位が取れなかった」「課題の提出物を床に投げ捨てられた」「指導してもらった用紙に『は?』とだけ書かれた」「病院での実習で単位をもらえず、どこが悪かったのか改善点を尋ねても指導してもらえなかった」「リポートや反省文の書き直しを執拗に指示され、提出期限切れとして留年させられた」
・暴力:「看護学実習で肩を強く引っ張られ、尻もちをついた」
江差の学生がパワハラを道に訴えたことに感心します。相当苦しかったのでしょう。勇気があったし、がんばったなあと思います。しかし、学生がパワハラを訴えても、緊張するし、うまく話せないことが多いのです。効果的なのは、保護者がでしゃばることです。学生はパワハラを受けたらまず保護者に言いましょう。心配をかけたくないと思う必要はありません。保護者は息子や娘のために学校に乗り込むべきです。学校は保護者に弱いのです。学費を払うのは保護者ですから、学校でまともな教育が行われていなければ文句を言う権利があります。過保護だと思う必要はありません。
ところで、江差高等看護学院の学院長は副学長ら教員のパワハラに対して何をしていたのでしょう?学院長は学生の訴えに対して全くの無力だったそうです。この学校のパワハラの原因は、教員個人の資質もさることながら、学院長や設置者である北海道庁が無能だったことでしょう。トップが無能だとこうなるという典型です。
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