パワハラって上司が部下をいじめること?
パワハラは職位が上位の者が下位の者に行う嫌がらせだと思っていませんか?一般的にはそのケースが多いのですが、部下が上司にパワハラを行うこともあります。朝日新聞2022/8/24の記事を引用すると。『北海道警は24日、自分より若い上司に暴言を繰り返したとして、札幌方面の警察署に勤務する40代の男性巡査の行為をパワーハラスメントと認定。減給100分の10(3カ月)の懲戒処分とした。道警監察官室の発表によると、巡査は4月下旬から6月1日の間、同じ係の20代の巡査部長と30代の警部補に対し、「実力が階級と似合わない」「やってられねえよ」などと暴言を繰り返したという。道警は巡査が上司2人よりも勤務年数や業務経験で優位な立場にあったと判断し、パワハラと認定した。」職位よりも年齢や経験が上のほうが優位だと判断したわけで、珍しい事例だと思います。年齢・経験年数・職位が下の者が1人で上司に暴言を吐いてもいわゆる「パワハラ」にはならないが(逆パワハラと呼ばれます)、多人数で同僚・上司を恫喝あるいは無視などをしたら、人数が多いことに優位性があるので普通にパワハラとなります。また、パワハラは企業内で発生するとは限りません。「元請業者が下請け業者に対して」「客が企業に対して」など、立場が優位な者が嫌がらせをすればパワハラになります。
ところで、道警の事例では、ハラスメントの発生から懲戒処分が出るまでの期間が短いですね。公的な機関の場合は解決までに長くかかるのが普通で、もし被害者と加害者の職位が逆であったなら、つまり被害者が巡査で加害者が巡査部長または警部補だったならば、解決はまだ先か、懲戒処分はあっても「戒告」程度であったかもしれません。
⇒(次のコラムへ)ハラスメントで懲戒処分されるのはどんな時?