トランスジェンダー女性が女性の邪魔をする
(前回のコラム)トランスジェンダー―女性が女子トイレに入ってきました、十数年前の事ですの続き
私は大学や専門学校で公衆衛生学を教えていますが、経験上、200名くらいの学生がいたら、わかる範囲内ですが、1名くらいはトランスジェンダーが存在します。私が経験したトランスジェンダーの学生は、入学時は女性でしたが性別適合手術をうけて、卒業時には完全に男性になっていました。同級生も教員も差別や特別視することなく、普通に接していましたし、同級生とも仲良くやっていました。女性の時は女性トイレを、男性になってからは男性トイレを使用していました。私が女性だと思って教えていた学生は実は男性だったという逆のパターンもありました。LGBT法については、何を今さらという思いです。個人の性的嗜好や性の「区別」を「差別」に置き換えたり、心の性の権利を過度に主張して女性に不利益を与えるなどして、逆にトラブルを招くだけではないでしょうか?
「性別不和」の診断は簡単ではありません、医療チームで行います。まず、精神科医が、本人や家族から現在の状態や成育歴を聴取して「心の性」を確定します。産婦人科と泌尿器科が生殖器の形態や性染色体・ホルモン検査などから「身体の性」を確定します。心の性と身体の性とが一致していなければ「性別不和」の診断がなされます。さらに第三者の委員の加わった適応判定会議によって承認されることで、ホルモン療法や性別適合手術に進むことができます。診察も受けず「性自認」を自己主張するトランスジェンダー女性(心が女性の男性をこう表現します)は、心の性で生活することは勝手ですが、男性の泌尿器や生殖器を持っていて機能している以上、女性が恐怖を覚えたり嫌な思いをする行為や、女性の活躍や権利を侵害する行動はやめていただきたいのです。
女性が恐怖を覚えたり嫌な思いをする行為というのは、女性の浴場・トイレ・更衣室を使うこと。女性の権利を阻害する行動とは、交通機関の女性専用車両に乗車したり、職場におけるポジティブ・アクションの対象になったり、女性のスポーツに参加することなどです。ポジティブ・アクションとは、「営業職や管理職に女性がほとんどいない」など男女格差が生じている職場で、女性社員の活躍推進を積極的に推進しようとする企業の取り組みのことを言います。LGBT法の交付によって、トランスジェンダー女性を女性として理解すべき、だからポジティブアクションの対象になる、なんていう主張が起るかもしれません。男性から社会進出を妨げられてきた女性が、今度はトランスジェンダー女性から邪魔されるという事態になりかねません。
⇒(次のコラムへ)トランスジェンダー女性の女子スポーツ競技への参加はメダルを取るための手段である